(1)自分が孤独であることと向き合う場所。
ひつじが丘
奈緒実は勤めの帰り書店に立ち寄り、学生たちが十数人もいるにもかかわらず、「だれも、自分のすぐ隣りにいる者に注意を払」わず、本を選んでは書棚に戻す行為を見て「本を読むって、淋しいことだわ」と思う。
(2)キリストあるいはキリスト教との出会う場。
氷点
啓造は聖書を購入する。
いつしか啓造は富貴堂書店の前にきていた。
夕方の書店は、歩くこともできないほど込み合っていた。土曜日のせいかも知れなかった。人をかきわけて店の奥まで入ることがおっくうで、啓造は目の前にある書棚を見あげた。
「クリスマス・プレゼントには聖書を」
という貼紙があった。その下に黒表紙に金の背文字の聖書が、おどろくほどたくさん並べてあった。
クリスマスが間近いような貼紙だったが、まだ十月の中旬であった。(雪虫)
(3)その他
氷点
陽子は、自分が北原に対して誤解をしていたことに気がつくが、そばにいくことがためらわれた。(街角)
ひつじが丘
奈緒実は、良一と丸善で待ち合わせをする。
積木の箱
一郎は、書店で『デミヤン』を手にしたまま、夫婦雑誌を見るが、代金を支払わずに持ち去ろうとしたところを、書店員に見つかる。そこに、悠二が通りかかる。(断面図)