integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

果て遠き丘

【初出】
1976(昭和51)年1月14日~1977(昭和52)年3月17日まで「女性セブン」に連載。
【単行本】
『果て遠き丘』 1977(昭和52)年6月25日、集英社
B6判、厚紙装、カバー、オビ
368p ; 20cm
780円
装画:原叶人
装丁:浅利佳典
収録:果て遠き丘
(オビ)
人間の愛と信頼を問う!
世界中で、自分だけが幸福でありたいと願う香也子。その冷酷なエゴイズムが、純真な姉の愛までも引き裂こうとする――旭川を舞台に、三浦綾子が人間同士の真の結びつきを追求した話題の長篇!
(オビ背)
愛の絆を描く長篇ロマン

(オビ裏)
人間とはみな一皮剥けば人を傷つけあって喜んでいる存在なのだろうか。他人の愛を打ち壊すことが、楽しいゲームですらある香也子。これまでに、彼女の中傷によって亀裂が生じ、もろくも崩れ去った愛を何度見たことだろうか…。高校時代、短大時代の友人、義理の姉らの顔を、彼女は冷ややかに思い浮かべた。そしていま、その冷酷なエゴイズムが実の姉恵理子の愛に襲いかかる――!

果て遠き丘 (1977年)

果て遠き丘 (1977年)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1977/06
  • メディア: -
【文庫】
『果て遠き丘』1978(昭和53)年4月30日、集英社文庫、集英社
592p ; 16cm
440円
収録:果て遠き丘/解説(佐古純一郎)
果て遠き丘 (集英社文庫 み 1-3)

果て遠き丘 (集英社文庫 み 1-3)

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1978/01
  • メディア: 文庫
    【全集】
『三浦綾子全集 第八巻』1992年5月7日、主婦の友社

三浦綾子全集〈第8巻〉

三浦綾子全集〈第8巻〉

  • 作者: 三浦 綾子
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 1992/04
  • メディア: 単行本

【電子全集】
『三浦綾子 電子全集 果て遠き丘』2013年1月25日、小学館ebooks

三浦綾子 電子全集 果て遠き丘

三浦綾子 電子全集 果て遠き丘

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1978/04/30
  • メディア: Kindle版
【電子書籍】
集英社e文庫『果て遠き丘』2014年5月2日配信開始
果て遠き丘 (集英社文庫)

果て遠き丘 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1978/04/25
  • メディア: Kindle版


【綾子から光世への献辞】

(単行本) 

もし一つの肢 苦しまば もろもろの枝 苦しむ 聖書

題名をつけて下さったのも、口述を筆記して下さったのも

ゲラを読んで下さったのも、みんなあなた。

感謝を愛と尊敬をこめて、お贈りします。 1977・6・25 綾子  光世様

(集英社文庫版)

よい題名をつけて下さってありがとう。

改めて沢山沢山御礼を申し上げます。

                    1978・4・22 綾子  敬愛する 光世様

 

 三浦綾子作品=「心が洗われる作品」「救われた」「感動して涙が止まらない」などという考えを『氷点』や『塩狩峠』『泥流地帯』などでお持ちの方は、裏切られる作品。三浦綾子嫌いの人がよく言うキリスト教臭さのない、そう、一言で言うのなら「昼メロのドロドロ系」です! あまりにもドロドロなんで読了感ははっきり言って悪いです。ささくれた心に「そうだ! 三浦綾子の作品を読んで……」と思った人には薦められません。裏切られます。
ドロドロ度:★★★★★ 
すがすがしさ度:★☆☆☆☆
オススメ度:★★★★☆
登場人物がムカツク度:★★★★☆
 まず、主人公の香也子(かやこ)がとにかく嫌な女です。死んだほうがましなくらい醜いもしくは家が超貧乏、頭が悪いと言うのなら彼女がここまでねじまがったことに多少は同情もするでしょう。しかし、彼女はコケティッシュな社長令嬢、しかも、どうやったらそげなことを思いつくんですか! と突っ込みたくなるくらいに悪知恵が働くんだからバカではなかろう。とにかく、自分以外の他人の不幸が人生の歓びと断言し、友達に恋人が出来ればあらぬ嘘で仲を引き裂き、挙げ句には父親の再婚相手の連れ子で義理の姉でもある章子の恋人・金井を誘惑、婚約を解消させる。
 ここまで、書けば主人公が一番嫌な人間に思えて来るでしょうが、もっと嫌な登場人物が出てきます。それが、章子の恋人・金井政一。名前のとおり、金こそ全て、金で治める男で、ノートに章子との交際に使った費用を几帳面につけています! 車谷長吉さんの『変』ではないですが、「天誅!」と叫びたくなるのは私だけじゃないはず。
 他にも、香也子の父・橋宮容一も嫌な男で、浮気相手と再婚したくせに最初の妻・保子とヨリをもどし、密会場所に義理の娘である章子の家を利用します。この密会場面がはっきり言って気持悪い。清潔感がなくて、読みながら、気持悪くなって仕舞う。どのくらいか具体的にたとえれば排水溝の黒カビみたときの気持悪さですが、何とかして前に進みたいと掃除するのと同じで、いつかlこいつらの気持悪い関係もなくなるやろうと期待してページをめくってしまいます。
 となくドロドロなこの作品、若い女性には是非ともオススメしたいです。ミツバチさんはゾロメな人ですが、男が如何にずるいくて、すきあれば他の女ともと考えている生き物かはそれなりに知っていますので、是非とも読んでもらいたいものです。