integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

レストハウス

旭川市高砂台に実在したレストハウスでは、ジンギスカンや義経鍋が提供された。

------------------------------------------------------

『氷点』:北原が初めて辻口家を訪れた際、夏枝が北原の送別会を提案し、高砂台にあるレストハウスでジンギスカン鍋を食べて送別会を行う。

 高砂台は辻口家の川向うの山つづきの台地である。高砂台にはレストハウスや、タワーがあった。レストハウスの前で車を降りると、
 「すばらしい眺めだ」
 と、北原が目を細めた。旭川の町が一望の下に見える。遠くに夕日を受けた大雪山の連峰が紫がかった美しい色をしていた。その右手に十勝連峰がびょうぶを立てたようにつらなっている。(『氷点』千島から松)

『続氷点』:
啓造は、辻口家を訪れた恵子に対して「レストハウスの義経鍋など、どうだろうね、夏枝」と言うが、夏枝は内心怒りを感じる。啓造の好物であることが、「そうですわね。あなたのお好きなものですし」ということばでわかる。(母二人)

『果て遠き丘』:
・章子と金井はレストハウスで義経鍋をつつく。(花火)

 ガラス戸の外は吹き抜けの食堂になっていて、さらにその外にはビーチパラソルの下にテーブルがいくつも並んでいる。何百人もはいる店が、ほとんど満席だ。若い男女や、子供づれの一家や、老人夫婦や、客の様相もさまざまだ。どのテーブルでもジンギスカン鍋や義経鍋をつついている。(花火)

『丘の上の邂逅』:
「義経鍋の思い出」に昭和36年か37年に高砂台に散策に行ったことや、花火がよく見えること、『果て遠き丘』の本文を引いて、レストハウスの義経鍋を紹介している。

 この小道が懐かしくて、再び高砂台を訪れた時、この小道のすぐ下手に、赤、黄、青のビーチパラソルの色も鮮やかなレストハウスが出来ていた。そしてそこでは、既にジンギスカン料理としていたようだが、わたしたちはただその丘に腰をおろして、憩いの時を持っただけであった。(略)
 それでも、幾度目かに行った時、ようやくジンギスカン鍋を三浦に食べさせてもらい、それもまた幸せだった。
 そんなことがあって、やがてわたしは、朝日新聞の懸賞小説に応募するため、『氷点』を書きだした。そしてその中に、主人公たちがこのレストハウスに来て、ジンギスカン料理を食べる場面を書いたのだった。
 小説に取り入れた場所というものは愛着のあるものだ。わたしたちは更にその後、幾度かここに出かけた。母たちをつれて、花火を眺めながら食事をしたこともある。旭川を一望に見渡すこの場所からは、石狩川の畔で上げる花火がよく見える。わたしはこの花火見物も『果て遠き丘』という小説の中に取り入れた。(「義経鍋の思い出」)