integral:三浦綾子資料室

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積木の箱:大垣夫人/大垣の母

大垣吉樹の母。北栄中学の理事の一人で、寄付をする。磯部校長によると、「寄付金などは案外高額のほう」。
下の名は記述なし。「ある農器具会社の課長夫人」

(1)「四十近い」「どこかけんをふくんだまなざしの、細おもての顔が大垣吉樹によく似ていた」「自分の考えに少しでも反対の意見を持った者は、決して許すまいとする顔」「少し化粧が濃すぎる」

(2)悠二の同僚・寺西敬子によると、「すごいママ」で、悠二と敬子が二人で歩いているとき、この姿を目撃したら、「風紀紊乱だ、教育上悪影響があるなんて、すぐに校長の所にねじこんでくるはず」と言い、「世の中には、自分の考えていることだけが絶対に正しいと信じて疑わない人もいるのよ。無論あれは一種のテロリストみたいな人間だけど、世の中にはそんな人間を利用して、一緒になって騒ぎ回るのもいるらしいわ。一年に二度や三度は、何かしらケッサクな騒ぎが持ちあがるんですって。覚悟していらっしゃい」と言う。また、「事を起すのが好き」とも語る。「視線」の章の懇談会の場面では、「常日頃から教師をむやみにいじめつけるような」態度であることや、「理くつも何もない。ただひたすらわが子だけが正しい」とする態度とある。

磯辺校長によると「何か勘違いをしているんですねえ。自分は教師の、そのまた教師にでもなっているつもりなのかも知れませんよ」と言い、息子を公立中学へ転校させると騒ぎたてた時には、「あんな小うるさい女の顔など見たくもない」としつつも、経営者側の観点から引きとめる。

「名声と金持ちには弱い」「ある農器具会社の課長夫人であることを、唯一の誇りにしている」。「佐々林トキのような相手には頭が上がらない」

「大垣夫人は、常に自分が正しかった。ルール違反などはいささかも考慮していない」。悠二は大垣夫人に対して「いったいどういう家庭に育って、こんな自分勝手な人間になったのだろう」と思うとともに、夫婦仲がいいわけがないと推測し、「その欲求不満が時々こうした形にあらわれるのではないか」と考える。

(3)「まあ! 何がそんなにおかしいのでしょうか。大体今の学校教育はなっていませんよ。それは親たちが、先生に対して言いたいことも言わないでいるからです。かげで皆さんよくおっしゃるじゃありませんか。先生に文句を言いたくても、子供が学校に行っているのだから、人質を取られているようなものだって。かげでさんざん悪口を言いながら、先生の前でご無理ごもっともですと、神妙な顔をしてるなんて不正直だと思いますわ。杉浦先生、先生はわたくしが口やかましい母親だとお思いかも知れませんが、ほかのおかあさん方だって、かげでは結構同じことを言っているのですよ。津島さんだって、かげでは何を言ってるかわからないと、わたくし思うんでございますけれど」

※『積木の箱』第四章の章名が、「大垣夫人」である。