integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

積木の箱:みどり/佐々林みどり

佐々林豪一の娘。一郎の姉。北栄高校に通う。十七歳。

小遣いは月ぎめで5千円(※悠二の煙草代20日分が千四百円ということを考えれば多すぎる)だが、みどりの機嫌が悪ければ、トキはもっとくれるという。

悠二を慕い、悠二に好意を寄せる敬子に対していち早く敬子の気持ちを察し、「先生を好きな女はきらいなの。だいっきらいなの」と敵対心をあらわにする。

豪一とトキに、九州旅行に行った際、福岡の宿で襲われ、子供ができたと嘘をついて家を出る。また、一郎の放火の件も打ち明ける。

チャイコフスキーが好き。

(1)「少し口は大きいが決して見劣りのする顔ではない。すべすべとしたうす絹のような皮膚の下に、バラ色の血が流れているようである」。国語教師の掛居によると「グラマー」で、一昨年、掛居のお気に入りだった。中学校一年生の時は、無邪気に掛居が抱きしめてくれるのを喜んでいたが、二年生の時に男性研究をするようになってからは、掛居を見ると逃げ出すようになった。

「形のよい中指と親指」

(2)一郎は「みどりねえさんだって、いつもギターをかき鳴らしているか、自分だけのことを考えているかどっちかなんだ」と思う。父が奈美恵を同居させていることについて、一郎は「いつも夢を食べて生きているバクのようなみどりは、まだ何も気づいていないようである」とする。みどりは、一郎に自身について次のように語る。「あたしだって、パリパリしてるようでも結構根はやさしい」「わたしはね。大人なんかどうでもいいのよ。大人には大人の世界があるし、あたしたちにはあたしたちの世界があるんだもの。別の世界の人間には、ノータッチよ」「あたしにはあたしの世界があるわ」。一郎はそんなみどりに対して「ぼくはみどりねえさんのように子供じゃないんだ」と言う。

自身について、数学の家庭教師になってほしいと言った上で、悠二に「こう見えても、あたしって案外教えがいのある生徒だと思います。ちょっとした魅力もあるし、そうおつむも悪くはないし……」と言い、母と正反対で「露出症の気味があるわ」と言う。悠二はこんなみどりの姿について「どこか長姉のはずれた哀しさ」を感じる。

「羽虫」の章でみどりは悠二に「おとなって、つまり個室を持っていることだと思うの。心の中に」「そうよ。しかも鍵のある個室ね。いくら外からノックしてもあけることができないのよ。愚痴を言ったり、不平たらたら言ってるおとなどもは、あれはほんとのおとなとは言えないわ。心の中がまる見えですもの」と言い驚かせるが、一方で「おかしいわ先生。舌先三寸っでは、どんな受売りでもできますからね。あたし、ケーキの好きな、無邪気な十七の少女よ」と言い、その後、自身の家庭の秘密を打ち明ける。

「犬の声」の章で、一郎から奈美恵のことを尋ねられたみどりは、奈美恵が何者であるかとっくの昔に知っていたことを認め、「あたしは別段、認めてなんかいないわよ。許してもいないわよ。だけど、親を許せないから、自分の生活までめちゃめちゃにするほど、あたしはばかではないわ」と語る。

自身を「凄いやきもちやき」と評し、「嫉妬という字は女偏だけど、〝みどり偏〟にするとよかったのよ。あたし、先生に近よる女は、誰であろうとただではおかないわ」という。この言葉の通り、敬子を無視する。

(3)「ねえ、先生、人間の体の中で、一番罪深い所ってどこかしら」「わたしはね、目だと思うのよ」「あたし時々、自分の目からもし何かがとび出すとしたら、それでじゅうぶん人を殺せると思うことがあるの。よく突き刺すような視線っていうでしょ?」「ね、先生。俗に『目は口ほどにものを言い』っていうでしょう。意地悪な目や、冷たい目、憎しみに満ちた目など、あたしたちはどれほど目で人を傷つけているかわからないわ。口でいう時はかなり自分でも意識してるけど、無意識に人をみている時には、それがよくわからないのね」(羽虫)