integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

積木の箱:百合/津島百合

私立北栄中学三年A組(悠二の受持学級)に在籍。一郎の隣にすわっている。

緑橋ビルの中に店舗を持つ洋品店の娘。「成績もきわだってよく」、一郎は中学に入った時から「少年らしい憧れに似た好意を抱いていた」。一方で「アリの巣」の章では「一郎は百合が嫌いではない。だが好きというより苦手であった」とある。三学期になると、「一郎は、百合が何となくまぶしい。苦手でもある」という風に記述される。

父と姉だと思っていた奈美恵との関係を知り、思い悩む一郎に「クラスの人だって言ってるわ。あんなお金持ちの家に生れて、立派なおとうさんおかあさんがいて何がおもしろくないんだろうって。ぜいたくよ、あんたって」「たしか、ひと月になるわね。あなたが憂鬱病にとりつかれたのは。いったいどうしたっていうの。反抗期なの?」と指摘し「とにかく中学三年の時は、二度とこないのよ。もっと楽しく過ごさない? 佐々林さん」と言う。

護国神社祭の華である慰霊音楽行進では、「きわだって巧み」なバトンを見せる。

当初、公立高校を受けるが北栄高校に進学すると一郎に宣言していたが、授業料や交通費が月に五千円は違うことから、公立高校への進学を決意する。

一郎のことが好きだと告白する。

(1)「色は浅黒いが、彫りのふかい、ちょっとフランス人形のような感じの少女」「彫りの深い個性的な美しさ」。大垣夫人は「すこしばかり目立つ顔をしておりますでしょ。わたしは別にきれいな子とも思いませんけれど」と悠二に語る。「小麦色の足」。一郎の目には「いつも生き生きとしている」ように思われる。

(2)大垣夫人は「ちょっときかないお嬢さん」「あの津島さんと吉樹とは、いつもことごとく意見が対立しますのよ」と言い「わたくしが思いますのに、津島という女の子が少しばかりきれいなものだから、男生徒たちもみんな心憎からず思っているのではないでしょうか。いつでも吉樹とその子との意見の対立がある度、吉樹は誰からも賛成されたことがないのですわ。吉樹が口惜しがるのは当然じゃございませんか」と語る。津島百合の母は、懇談の席で「きかない子」と評する。

(3)大垣吉樹に対して「今の世の中はたしかに、志望通りの学校に入って、望みどおりの会社に入ることさえ、むずかしいことかも知れません。でも、中学生のうちから、何になりたいとも思わないなどというのは、わたしは不賛成です。わたしたちは自分なりに夢を持って生きていい年ごろだと思います」と言う。