integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

積木の箱:和夫/川上和夫(かわかみかずお)

悠二が赴任初日、坂道で出会う。小学校1年生。学校の行き帰りにどじょうすくいをしている。
和夫の出生は、「丘の夜」の章で語られるが、「久代にとって、和夫は必ずしも愛しいだけの存在ではなかった」が、和夫を身ごもった久代は、常日頃から堕胎に疑問を抱いていたこともあり、帯広の街に行き、旅館で働き、「産院の窓から、紅葉の美しい庭が見えた」頃、和夫を産むが、「たちまち母性的な愛情」に溢れ、和夫を手放せなくなる。

毎晩久代から、話を聞かせてもらう。「丘の夜」の章で、神さまから和夫ちゃんが右手で触るとどんな人でも優しい心になる能力を授かったという話を久代から聞いた和夫は、自分の右手にもその力があると信じるようになる。

天国への関心が強く、どうやったら天国に行けるのかを考え、地図を書く。
元日、一郎や久代から、神さまにお祈りをすればいいことを教えられ、天国に行けるように祈るようになる。

サマーキャンプ中の悠二たちに差し入れを持ってきた豪一は、和夫を抱き、みどりたちを驚かせる。

一郎は、自分の家まで尋ねて来てくれた和夫について久代に「だってぼく、和夫君がめんこくて、何だかほんとうの弟のような気がしちゃった。この暑いのにわざわざぼくに会いにきてくれたのかと思ったら、めんこくてさ」と語り、「どんなことがあっても、和夫だけはほんとにかわいがっていけるような気がした」とする。

「炎」の章で、悠二に「あのね。どうか天国へいかせてください。ぼくは、怒ったりいばったりするけど、どうかゆるしてください。それから、ぼくをなぐった人も、神さまは怒らないでください。それから、ぼくにおとうさんをください。……そんなことをお祈りするの」と言い、父親になってほしいという。

ハムが好き。

(1)「色の白い、御所人形のような愛らしい子供」。和夫に自宅の場所を聞いた悠二は「この子はあのきれいな肌の、おだやかな人の子供なのか」と思い、「色の白い所が母親似かも知れないが、顔立ちは少しちがっている」ので、和夫を父親似ではないかと推測する。「ふっくらした膝小僧」「つぶらな目」。豪一は和夫の走って行く姿を「一郎の小さい時に、実によく似ていますよ」と語る。

「愛らしい笑顔」「みそっ歯がひとつのぞいている」

(2)友人たちから「はんかくさい」(原文傍点)と言われている。札幌から旭川までの駅名を言える一方で、母とママが同一であることがわからない。

地図を書くのが得意で、敬子から「地図屋さん」と呼ばれる。「地図さえあれば安心なのだ。地図があれば、世界中どこへでもいけると思い込んでいる」。「勘がいいほう」で、「一度通った所は、たいてい覚えてしまう」。

和夫の出生の秘密を知った敬子は「しかし、佐々林の子にしては、また素直な、純な子が生れたものね。あんなきれいな心の子っていないわよ。母親そっくりね。佐々林豪一の血は一滴も入っていないかもしれないわ」と言う。

一郎はその後、和夫が自分の異母弟だと知るが、「和夫が自分の弟と知って以来、一郎はいっそう和夫がかわいかった。あの父の血が自分に流れていることを思うと憂鬱だったが、和夫のような素直な子が自分の弟だと思うと、何か救われるような気がした」。

(3)「あのね。どうか天国へいかせてください。ぼくは、怒ったりいばったりするけど、どうかゆるしてください。それから、ぼくをなぐった人も、神さまは怒らないでください。それから、ぼくにおとうさんをください。……そんなことをお祈りするの」(炎)