integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

原罪

『続氷点』:
流氷原で、「あなたがたの中で、罪のない者が、まず石を投げうちなさい」という言葉と、許しを乞うた恵子の姿を思い返しながら、陽子は流氷原のように冷え切った自身の非情さに気づく。それは「自分を正しいと思うことによって、いつしか人を見下げる冷たさ」であった。そして陽子は啓造から聞いた「原罪」という言葉を思い出し、「自分の心の底にひそむ醜さ」に気づく。

『忘れてならぬもの』所収「氷点」を書き終えて(初出:「信徒の友」1966年1月号、日本基督教出版局)

 この根本的な問題を、わたしは小説「氷点」において訴えたかった。すなわち原罪というテーマである。原罪というと何か目新しく、とっつきにくい感じを持たれるかもしれない。辞典には「キリスト教で、人間が生まれながらに持っている罪、新しく犯さないのに初めから持っている罪」とあるが、要を得た解である。(中略)
 わたしは、その原罪を訴えたかったのだ。そして小説の中で、描こうと努めた。登場人物のひとりひとりにもそれはあるのであるが、端的に現わすために少女陽子に問題のスポットをあてた。