integral:三浦綾子資料室

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ヨハネによる福音書八章一節から十一節

『続氷点』:
啓造は、旭川を立つ陽子に「えんじ色のクロス張りの聖書」を贈り、「陽子、ヨハネによる福音書八章一節から十一節までを、ぜひ読んでおくこと。父」という細い紙片を挟む。「その個所には、姦通の現場から引きずり出された女が、衆人に石で打ち殺されるか、どうかという場面が記されていた」が、イエスは「あなたがたの中で、罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」と語る。啓造はこの言葉に太い朱線を引いておいた。陽子は、恵子が許せなかったこと、恵子に初めて会った日のことを思い出し、痛みを感じる。陽子は、この「あなたがたの中で、罪のない者が、まず石を投げうちなさい」ということばを思い返しながら流氷原を凝視し、自分の心が冷え切っていることに気づき、自身の非情さと原罪に気づく。(燃える流氷)