見本林の桜を見に来た夏枝は、土手の上にしゃがんでいた老女に声をかけ、老女が最近引っ越してきたことや、桜のやにで遊んだことやお手玉をしたこと、息子が戦死したことを聞き、「自分も年老いた時、何のためにいきてきたのかとつぶやき、あの林の向うの川原で、ルリ子が殺されたと、人に語るような気がした」。
(1)「八十過ぎ」「唇のまわりに、無数のたてじわが寄っている」「目の下が幾重にもたるんでいる」「小さなくぼんだ目」
(2)記述なし
(3)「何しに生きてきたのかねえ。貧乏して、亭主に道楽されて、息子に死なれてなあ。それでもやはり、死にたくはないわね」