札幌で、高木と同居。「香煙」の章で、脳溢血で死んだことが記される。高木は同じ家に居ながら母の死に目に会えなかった。お茶の師匠をして、女手一つで子供たちを育て上げた。高木によると、「三十年も昔から、耳鳴りだの頭痛だのといっていた」。
(1)「痩せぎす」「真っ白いかっぽう着姿」「高木に似ない細い目」で高木によると「おれに似ないシェーン(美人)」で「どこか粋な、垢ぬけした容姿」
(2)高木によると「口やかましい」「口うるさい」。啓造は、高木の結婚話を聞いて、「いつ行っても、いま張替えたばかりのような汚点一つないふすま、いささかの乱れもない家の中」を思い出し、高木が妻と母の板ばさみになるのを避けたかったのではないかと思う。
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