integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

愛する/愛

(1)自分の命を相手にやること
『氷点』:
洞爺丸の海難事故に遭遇し、一命を取り留めた啓造は陽子を愛せない自分を痛感する。ふと同乗していた宣教師のことを思い出し、愛するとは「自分の命を相手にやることだ」と思い、「人を愛するのは、スローガンをかかえるだけじゃ、だめなんだ。あの宣教師は、もっと大事な何かを知っていたんだ。単なる言葉じゃないものを知っていたのだ。言葉だけじゃなく、もっと命のあるものを知っていたんだ」と考え、それが何かを知りたかった。(雪虫)

『続氷点』:
啓造は夏枝に「愛について書いてある本を読んでごらん。大変なことだよ、愛するとは。何しろ、自分の一番大事なものを他にあげるのが真の愛だそうだよ」と言い、「その命をあげることのできるのが、愛だそうだ」と語る。(燃える流氷)

(2)感情ではなく、意志である

『続氷点』:
・「好きということと、愛することとは同じですよ」という夏枝は、愛は感情だとする。しかし、啓造は「人間が本当に問題にすべき愛は、本来意志的なものだろうね」と語り、陽子は「愛とは感情ではなく、意志である」といった啓造の言葉を心にとめて、北原を選ぶ。(燃える流氷)
・陽子は「愛は意志だ」という言葉の深い意味はわからないが、「そのかくたる意志が与えられたい」と思う。「それは、真に罪をゆるし得る、唯一の権威あるものの存在によって、与えられるような気がする」。(燃える流氷)

(3)許すこと

『ひつじが丘』では(3)を作品の主題としている。それは、「愛するとは、ゆるすことでもあるんだよ。一度や二度ゆるすことではないよ。ゆるしつづけることだ」という言葉をはじめ、とかく耕介は奈緒実にゆるすことを説き続ける。それは、自分が妻の姉と不倫関係に陥った際に、愛子に許された体験に基づく。