『氷点』
年齢、氏名不詳。辰子の恋人。辰子との間に男子がいたが、生まれてすぐに死亡。マルキスト自身も獄中死する。万葉集を読んでいた。辰子によると「死なすには惜しい人」「あんな男には、もうなかなかお目にかかれなくなった」(『氷点』うしろ姿)
『草のうた』で綾子は九条通12丁目右7号に引っ越した際、近所にいた共産党の闘士について「私の小説『氷点』の踊りの師匠辰子の恋人に、この人のイメージを借りている」と書いている。
『続氷点』
『続氷点』では、「マルキスト」ではなく、「好きな人」「思想犯」と表記される。
辰子によると、「戦争には痛い目にあわされた」「ひどい目」だというのが、この男の獄死である。
辰子は、由香子に男が獄死したことと、生まれた子供がすぐ死んだことを告白する。
(1)辰子によると「細い目」。
(2)「よく自制を見通していた」
(3)「この戦争は必ず負ける。生鮮だなんていっても、一部の奴の利権のためにやっているんだ。それがどうして国民にはわからないのか」