integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

氷点 [DVD] 1966年版(夏枝役:若尾文子、陽子役:安田道代※現 大楠道代)


氷点 [DVD]

氷点 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD

『氷点』の映画化。
1965年11月末、大映が『氷点』の映画化を決定、永田社長から山本薩夫監督に声がかかる。山本監督は2時間前後のカラー作品にしたかったが、テレビが終わるまでに封切るため、公開開始の3月末という予定は動かせず、1時間37分の白黒映画となり、陽子が白紙の答辞を読むシーンはカットされた。翌年3月23日、朝日新聞東京本社で映画『氷点』の試写会が2回開かれるが、社告が出てから5日間の間に21739通の応募があり、締切後も2000通の応募があったという。同年3月26日、大映映画『氷点』が公開される。封切り直後の土・日曜の全国主要4館(東京・浅草、名古屋、京都、大阪・梅田)の入館者数から推定すると、同社の看板シリーズである「座頭市」に匹敵する観客動員数160万人、興行収入3億2千万が見込まれ、地元の旭川では人口の約1割に当たる2万5千人が前売り券を買ったという。(『「氷点」を旅する』参照) 

本編の再生はもちろん、キャプターごとの再生も可能。「映画の予告篇」、「キャスト&スタッフ」、「解説/データ」がDVDで楽しめる。

以下のデータは、DVDの「キャスト&スタッフ」、「解説/データ」より。

≪キャスト≫ ※◎をDVD再生時に、クリックすると略歴が参照できる
辻口夏枝:若尾文子◎
辻口啓造:船越英二◎
辻口陽子:安田道代◎(現:大楠道代)
辻口徹:山本圭◎
北原邦夫:津川雅彦◎
高木:鈴木瑞穂
村井:成田幹夫
辰子:森光子
次子:明星雅子
松田:中村隆
陽子(子役)竹中国恵、豊倉ゆう子
徹(子役):小林直人、金子光信、津沢彰秀

≪スタッフ≫※◎をDVD再生時に、クリックすると略歴が参照できる
企画:三輪孝仁、伊藤武郎
原作:三浦綾子◎
監督:山本薩夫◎
脚本:水木洋子◎
撮影:中川芳久
録音:須田武雄
照明:渡辺長治
美術:間野重雄
音楽:池野成
編集:中静達治

≪作品オリジナル・データ≫
1966年 日本映画/大映東京作品
スコープ・サイズ(1×2.35)
モノクローム/モノラル/97分(9巻・2641米)
公開:1966年3月26日(配給:大映、併映『わが愛を星に祈りて』)

(原作との相違点)
陽子が牛乳屋の小父さんたちの会話から出生の秘密を知るシーンがない。
高校生になっても陽子は牛乳配達をしており、徹との会話の中に自分がもらい子であることを知っていることが説明されている。
陽子が答辞を読むシーンがカットされている。
松崎由香子は出てこない。
北原の妹にボーイフレンドがいる。

≪原作との相違≫

・ルリ子が死に、左石がつかまり、自殺するまでのエピソードは新聞記事ならびに劇中の台詞で語られる。
・夏枝が啓造の手紙を読んだ後、啓造に対して心身ともに裏切ろうと決意する。村井と肉体関係を持とうと事前に着物はもちろん下着から足袋まで、すべてを新調するが、いざ療養後の村井を迎えに行くと、村井の顔がむくんでいたため失望する。この場面がない。
・村井は、夏枝の眼を診察したことで、夏枝に横恋慕するが、このエピソードは、啓造が高木に宛てた手紙の中で啓造の妄想として語られる。
・陽子が出生の秘密を知るのは小学生の時牛乳屋の夫妻の会話からだが、映画ではこのシーンがなく、陽子と徹との会話で、陽子が出生の秘密を知っていると察せられる。
・陽子が幼少のとき、夏枝から受けたいじめについては映像での描写がない。啓造が夏枝に対して、もっと陽子を可愛がるようにと説教し、陽子いじめの例として台詞の中で指摘されるが、卒業式の時に答辞をすり替えられたことは省略されている。
・上述の啓造と夏枝との会話で、徹が陽子が養女として引き取られたわけを知るが、原作と異なり徹は大学受験直前という設定である。
・松崎由香子は登場しない。原作では、村井の虚無的な面が松崎との関係で描写されるが、映画では村井の内面については触れられない。
・啓造の病院で自殺した正木については、三浦曰く大きな反響があったが、映画では正木の名や何故自殺したかは語られず。
・監督が社会派と称されるからだろうか、子供のころの徹が陽子にアイヌの笛(ノッコリ)をやったり、札幌雪まつりでアイヌの祭りを陽子が眺めるシーンがある。
・原作では、北原と北原の妹が歩いているのを陽子が誤解するのは旭川だが、映画では雪まつり中である。
・自殺する陽子が、死しても魂となって家族を守りたいという趣旨を遺書にしたためる。
・原作では、陽子の生死はあいまいだが、映画では息を吹き返す。

≪その他≫

・三浦綾子記念文学館が建設される以前の見本林の映像を見ることが出来る。
・辻口家のモデルとなった藤田家の外観を少しだけ見ることが出来る。