『大辞泉』(増補・新装版)によると
ななかまど【七竃】バラ科の落葉高木。山地に自生。葉は長楕円形の子葉が五~七対つく羽状複葉で、秋に紅葉する。七月ごろ、白色の小花を群生し、実は熟すと赤い。材は燃えにくく、名は七度かまどに入れても燃えないということにちなむ。[季 秋]
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(1)死んだ人物を思い出させるもの
『氷点』の夏枝は、自宅の庭のナナカマドの木の下に、死んだルリ子を見る。
『ひつじが丘』のサトミはこの実が赤く染まるのを楽しみにしていたが、中絶手術が失敗し死亡。
(2)登場人物の中には、この木と赤い実を好むものが複数いる。
『氷点』:陽子はナナカマドの紅い実の雪をかぶった姿を北原にも見せたいと思う。
『ひつじが丘』のサトミはこの実が赤く染まるのを楽しみにしていたが、中絶手術が失敗し死亡。
(3)作中の風景
『氷点』:
辻口医院に植えられているほか、辻口家の庭に植えられており、「庭のナナカマドのシンクの身に、白い雪がつもると、協会のベルのような形になるのが陽子には楽しかった」と描写される。
『続氷点』:
・徹は、恵子の見舞いにマスカットを持っていく。「徹は、庭のナナカマドの木を見おろした。実が赤く色づいていた」。(交差点)
『積木の箱』:
護国神社祭の華である慰霊音楽行進を見に、緑橋通りに来た悠二は、行進を見ている最中に、向い側のナナカマドの並木に「男の子たちがよじのぼっている」様子や、「その木の下で見ている人たちも、みんな楽しそうだ」と感じる。(綿アメ)