integral:三浦綾子資料室

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流氷

『続氷点』:
・北原は陽子に、網走の街について「きれいすぎるくらい」だと言い、「しかし、流氷の網走は一度ごらんになるといいですよ。これは見せてあげたいな。でも、流氷は一人で見るべきかも知れないな」と話す。(陸橋)
・「灰色の空の下に、流氷原は蒼ざめた白色の荒野だった」。(燃える流氷)
・「宿のすぐ前の道に沿って防波堤があり、そのそばまで、庭石のような大きな流氷や、厚い板のような流氷が無数におしあげられ、敷きつめられていた」。(燃える流氷)
・「流氷が不規則に重なり合い、あるところは丘状に盛りあがり、あるところはくぼみながら、びっしりと沖のほうまでつづいている」。(燃える流氷)
・「いま、陽子の前に、流氷の原は、墓原のように動かない。恐ろしいばかりの静寂だった。この見渡す限りに白く閉ざされた氷原の下に、巨大なオホーツクの深海がうねっているとは、到底信じられなかった。それほどに、きびしくも無気味に沈黙している光景の中に、カラスだけが今、唯一の動きだった」。(燃える流氷)
・北浜の海岸通りに出た陽子は、「岸近くに押しよせられた流氷は薄みどり色」を帯びていたことや、「小山のように盛上がっている流氷は、ここでは正にガキガキとひしめいて見えた」のを眺めるとともに、運転手から「知床の岬のほうでは、十七、八メートルもの高さに盛上がる」ことや、知床の番屋で一人で住む男の話を聞く。(燃える流氷)
・この灰色一色の氷原が、人生の真の姿かもしれない」と思った陽子だったが、その直後に「流氷が真紅に染ま」り、「流氷が燃える」のを目の当たりにする。(燃える流氷)
・「人間の意表をつく自然の姿に、陽子は目を見はらずにはいられなかった。墓原のように蒼ざめた氷原が、野火のように燃え立とうとは。陽子はいまの今まで、夢想だにできなかった。いかなるプリズムのいたずらか。とにかく、いま、確かに現実に陽子の目の前に、流氷はめらめらと炎を上げて燃えているのだ」。(燃える流氷)
・「陽子は、北原に、徹に、啓造に、夏枝に、そして順子に、いま見た燃える流氷の、おどろくべき光景を告げたかった。自分の前に、思ってもみなかった、全く新しい世界が展かれたことを告げたかった。そして、自分がこの世で最も罪深いと心から感じた時、ふしぎな安らかさを与えられることの、ふしぎさも告げたかった」。(燃える流氷)
※「燃える流氷」は、『続氷点』の最終章の章名。