integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

(1)『氷点』の第1章の題。
5歳の徹は「敵ってナーニ」と問う。啓造は「敵というのはね、憎らしい人のことだ。意地悪したり、いじめたりする人さ」と教えられて、四郎の名を出す。しかし啓造は、イエスの話をし、「汝の敵を愛すべし」という言葉を思い出しながら「敵とは、一番仲良くしなければならない相手だ」と教える。

(2)汝の敵を愛すべし
『氷点』で夏枝の父である津川教授は「キリストの"汝の敵を愛すべし"ということほど、むずかしいものは、この世にないと思いますね」と言い、学生時代の啓造は強い印象を覚える。啓造は、夏枝への復讐のため、ルリ子を殺した犯人佐石の子を引き取って育てるとともに、この言葉を一生の課題にする。→「
汝の敵を愛すべし/汝の敵を愛せよ

(3)自らの生活を脅かすもの
『氷点』:
啓造は、
村井の来訪を告げない夏枝に疑惑を抱き、「絶対に許せない」「自分の生活を脅かす者に寛容であり得る訳はない」とし、「敵とは愛すべき相手ではない。戦うべき相手のことだと徹にいうべきであった」と思う。

『積木の箱』:
・佐々林家の内情を告白したみどりは、悠二に「仕方がないわ。敵の中にいるんだもの。自分を守るために強くならなきゃあならないもん」と言う。(羽虫)
・「敵という言葉に、いかにもみどりの実感がこもっていた。考えてみると、家族というものは、たしかにある意味では敵かも知れなかった。「自分自身が最大の敵」という言葉もあるように、身近なものが一番恐ろしい敵でもあり得るのではないか。常に最も身近にいるものこそ、お互いに傷つけあっている恐ろしい敵でもあった」。(羽虫)