integral:三浦綾子資料室

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氷点・続氷点:徹/辻口徹(つじぐちとおる)

/辻口徹(つじぐちとおる)

『「氷点」を旅する』に収録されている「三浦綾子がつづるあらすじ」では、「陽子の四つ年上だが、神経の繊細な優しい子であった」とある。

作品冒頭(昭和21年)で5歳という設定。啓造夫妻の長男、ルリ子の兄、陽子の義兄。陽子を無条件に愛するまじめで心やさしい青年に成長する。スキーが上手。中学生の時は、生徒会長を務めるが、陽子が引き取られた経緯を知り、高校の入学試験で答案を白紙提出する。1年後、道立旭川西高校に入学する。中学生の時は地質学者になりたかった。また化学をやりたいともいっていたが、北海道大学の医学部に入学する。ドイツ語は中学時代から啓造に手ほどきをうけていたので、大学二回生で、カロッサの『美しき惑いの年』が翻訳できるほど。スキーは上手。

(1)村井の目には「何かこう神経質な感じや、はれぼったいような眼なんか、院長そっくり」で、啓造と夏枝の子だという事実に耐えられない。青年した徹は、電話で聞くと啓造にそっくりの声でしゃべる。

(2)徹の性格としては啓造ゆずりの神経質と慎重さが指摘できる。作中では「啓造ゆずり」という表現が出てくるように、啓造によく似た性格の持ち主である。陽子から見た徹は「男らしくて、やさしくて、とてもいい人」で恋愛対象にはならない。辰子は、陽子が小学校1年生の学芸会の帰りに、「徹くんは、まず一生面白くない面白くないで暮らすタチだね」と評す。啓造同様几帳面で机の上は整然としている。

(3)「わかってなんかいないんだ。おとうさんはわかってなんかいないよ。おとうさんだって悪いんだ。おかあさんに復讐したければしてもいいよ。だけど、そのために一人の人間の運命を不幸にするなんて、そんな、人間を大事にしない考え方に僕は腹が立つんだ」(『氷点』)

◎続氷点:北海道大学に在籍、札幌在住。

相沢順子から思いをよせられる。順子は「徹さんの優しさと清さが、わたしは好きでした。でも、あのひとの口からサイシという名を聞いた時、すべては過去になりました」と陽子宛の手紙に書く。

自身が語るように、陽子が本当の妹でないと知った時から、陽子と結婚したいと思っていたが、北原の事故があり、陽子は北原との結婚を考えていた。網走を訪れた陽子は、徹との関係を「不幸な出会いというべきかも知れない」とする。

煙草はピースを吸う。

(1)順子によると「清潔な感じ」。また、陽子には「あなたのおにいさんって、谷川みたいに清らかな感じがして、ちょっと気になる存在なの」と語る。陽子から見た徹の横顔は「眉のあたりは、やや神経質そうだが、青年らしい清潔な感じ」。辰子によると目が「細い」。

(2)陽子のことで夏枝を非難する徹に辰子は「きびしい」と評し、「徹君、あんた馬鹿よ。もっとおとなにならなきゃ……」と助言するが、「辰子には何をいわれてもふしぎに素直になる」
 陽子は、順子から「きょうだいげんかをなさる?」と尋ねられ、「いつも徹は、はらはらと自分をかばってばかりいたような気がする」。

(3)「ぼくにとって、陽子を失うことは、すべてを失うより、辛いことなんだ」(燃える流氷)