integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

氷点・続氷点:高木/高木雄二郎(たかぎゆうじろう)

高木雄二郎(たかぎゆうじろう)

啓造の学生時代からの親友。産婦人科医で、札幌の総合病院に勤めるかたわら専門外の乳児院の嘱託をやる。のち開業。「千島から松」の章では、「去年の税金は二百五十万」とある。
学生時代、恩師の津川教授の娘の夏枝に思いを寄せ、教授に直談判して「辻口以外の男と結婚するのなら俺はあきらめない」といった話は動機の学生の間で有名。トウキビが好物。

なお、作者の三浦綾子は「小説のタネ」(『私にとって書くということ』所収)で 

「高木」という産婦人科医は、三浦の友人、田村武氏を原型としている。田村氏は総評の副議長をしている「男の惚れる男」である。

と述べている。また、「小説『氷点』への高まる読者の熱情」(初出1965年6月27日「朝日新聞・PR版」『ごめんなさいといえる』所収)「挿絵の福田豊四郎先生は、高木のこの小説における役割を指摘して、小説の結末の予見を述べておられたのは、さすがである」という。

「朝日新聞」2014年6月28日の記事「小説「氷点」、原案は「風」 三浦綾子の創作ノート確認」では、「高木(悪役)」と記され、啓造の妻への恋慕から、わが子を養子にしたい欲望を持つ設定になっている。

(1)「目鼻立ちの大造りな豪放磊落型の男」でよく冗談を言う。

(2)「さっぱりとした気性」で、学生時代の啓造は女性に関心があることをあからさまに述べる「高木のような性格がうらやましい」と思う。啓造と高木の性格の対比はトウキビを食べる姿にも表れている。がぶっとかぶりつく高木と、粒を器用にほぐす啓造とは対照的である。しかし、磊落そうにみえて、ルリ子を失った夏枝に対して啓造よりも心をつかう。また、自身を「おれはアッサリしている人間だが、くどい所は人よりくどい」と言い、犯人の娘を引き取りに来た啓造に秘密の厳守を約束させる。

「いつものんびりと朗らかだった」ため、40過ぎても独身を気にかけさせるようなものを持っていない。辰子によると「巣の作り方を忘れた鳥」。「雨傘を持つたびに忘れて歩く」一面も。

(3)「チェッ。わからねえ野郎だな。法に触れなきゃ、何をしてもいいのか?」

 啓造の学生時代からの親友。40半ば。
 産婦人科医で、札幌で開業。乳児院や育児院とも関係がある。
 割烹「鴨川」の角を右に折れ、「切込み砂利を敷き詰めた小道に入った。コンクリートの塀が、「鴨川」の広い屋敷に沿って、長く続いている。一丁ほど向うの、電車通りが見える左手の角に「高木産婦人科」のプラスティックの看板が見えた」。高木産婦人科(高木病院)は三階建てで、次のように描写される。


 高木の住居は、病院の中にあった。広い正面玄関を入った右手に事務室があり、つづいて待合室、診察室、分娩室、手術室などが、向かい合って並んでいる。
 玄関の左手の、大きなドアが高木の住居の入口である。

高木の家は「十畳ふた間、八畳ふた間の和室、六畳の台所と浴室があった。高木の母は洋室が嫌いで、どの部屋にもソファや椅子をおいていなかった」。「美しい植込みの見える座敷」には「青風在竹林と書いた掛軸が、床の間にかかっている」が、北原が陽子のことで直談判に来た時には「副重層の絵がかかっていた」。 

 学生時代、啓造の妻である夏枝に思いを寄せていた。訪問してきた徹と北原に「君らは、おれと辻口啓造のような間柄か」と話す。長年の独身生活を続けた理由は、「ギネ(婦人科)などをやっているとね、女は神秘的存在じゃなくなるんだな。それに乳児院だろう」「世間の奴らがハイラーテン(結婚するからって、何もおれまでつきあうことはないやね」「いや、本音はね、この口やかましいおふくろじゃ嫁と姑のゴタゴタは目に見えている。おれのような気弱な男には、身の毒だからね」と語るが、のち、子持ちの女性と再婚。

(1)「太い眉」。本人が啓造に言うには「めっきり禿げて来た」。「でかい図体」

(2)人づきあいがよいらしく、母の通夜には五百人近い客が訪れた。村井によると、「心に毒のない人」。

(3)