integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

三平汁

『大辞泉』(増補・新装版)によると、以下のように記される。 

ニシンのぬか漬けやサケのあらなどを野菜と煮合わせた塩汁。北海道の郷土料理。松前藩賄方、斎藤三平の草案という。【季 冬】

岡田哲編『日本の味探求事典』(東京堂出版、1996.1)により、以下を2013.10.8に確認し、追記。

さんぺいじる 三平汁(北海道) ニシンで活況を呈した松前地方に伝わるもので、松前藩でも珍重している。また、海辺で作られた、ゴッタ煮の庶民料理であったともいう。名前の由来は諸説あり定かでない。松前藩の賄方の斎藤三平の考案したものとか、アイヌ語のサンペ(心臓)の訛ったものとか、余りのおいしさに三杯食べてしまうので(三杯汁)とか、有田焼の元祖の三平の名を付けた絵皿に盛るからとかいう説がある。いづれも嘘らしく尤もらしい。ニシンが大量に水揚げされた頃は、糠に漬け込み発酵させていたが、最近はサケ・タラに代わっている。サケは、ぶつ切りの塩サケに、頭やあらも一緒にする。タラは、白子を必ず入れる。ジャガイモ・ニンジン・ダイコン・ネギを入れ、コンブだし汁で煮込んだ塩汁にする。好みにより酒粕を用いる。秋田のしょっつると類似した調理形態で、冬の鍋料理として申し分ない。(p134)

ひつじが丘:奈緒実が、良一の本性に気づくきっかけとなる料理。「四月に入ったある夜」、奈緒実は良一のために「好物の塩鮭に、馬鈴薯や人参、大根などを入れた三平汁を作って待っていた」が、奈緒実の想像とは裏腹に遅く戻った良一は奈緒実を非難、冷酷な顔を奈緒実に見せる。

この病をも賜として:「第2章 なすに時あり」に以下のように記される。

 夕食。本日は三平汁。三平汁は北海道のきびしい冬が生んだものと言われている。塩鮭や塩鰊を保存食として漬けておき、それと共に、馬鈴薯、人参、大根等を輪切りにして煮たものを、汁ごと深皿で食べる。はなはだ美味。三平という人が作ったので、三平汁とも言われているが、三杯お代わりするからもともとは三杯汁、それがなまって三平汁に転訛したともいう。それはともかく私には三平という人が何となくやや小柄な、しかし体のがっしりとした頑固親爺のように目に浮かんでくる。頑固なくせに、笑うとあたたかい笑顔になって、女にも男にも好かれる一人の男、そんな男が三平のような気がする。

草のうた:小学校4年生の綾子が生まれて初めて苫前に行った時に大正座に宿泊し食す。

夕食時であったか、昼食時であったか忘れたが、席主の茶の間で、ご飯をご馳走になった。三平汁だった。三平汁は北海道特有の料理で、塩鰊または塩鮭を主に、馬鈴薯、大根、長ねぎ、ささげなどを煮こんだ塩味の鍋ものである。それを、三平皿という深皿に、身をたっぷり入れて食べるのだが、魚嫌いの私には、あまりありがたいご馳走ではなかった。