『氷点』:
・洞爺丸事件から十年後、啓造は聖書を読み、教会に行く決心をして車で出かける。
車がとまった。教会堂の前である。チケットを渡して車の外に出ると、啓造は教会堂を見あげた。十字架の下の明るく灯ったプラスティックの飾窓に、
「神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛してくださった」
と筆太に書いてあった。(『氷点』階段)
・教会を訪れたものの、中に入ることのできない啓造は「なくてはならぬものとは何だろう? おれにとって、なくてはならぬものとは何だろう」と自問し、十字架を見あげる。
『ひつじが丘』:
・良一は、十字架の下で許しを乞うた画を描き、かなりの反響を呼ぶ。
『続氷点』:
・村井は辰子に「おや、あの十字架は何です? 教会ですか」と問いかけ、「村井さんみたいなひとは、行くといいんじゃない? ね、夏枝」と言われる。(花ぐもり)