integral:三浦綾子資料室

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ひつじが丘:輝子/川井輝子(かわいてるこ)

輝子/川井輝子(かわいてるこ)

昭和24(1949)年北水女子高校(愛称:リラ高女)三年A組在籍、「クラス一の美人と自他共にゆるしている」だけでなく、藻岩山に近い住宅地に住む「札幌で屈指の財産家」の娘。高校を卒業した後は、東京の大学に進学。父が同級生の京子の母を妾にしているのを知り、京子を苛め、父に対して絶望する。男女の愛をありえないものとする。睡眠薬を常用。両親の不仲に嫌気がさして一旦は家を出たものの、良一の死後は母の元に戻った。

(1)「クラス一の美人と自他共にゆるしている」ように美人だが性格はきつく、容姿にも表れている。「勝気そうに、美しい眉をピリリとあげ」「形はよいが細い目が冷たい」流行に敏感で「今流行のロングスカートをまねて規定すれすれまで長くしたスカートと、背丈をこれ以上どうすることもできないまでに短くしたセーラー服をたくみにきこなしている」。竹山からみた輝子は「いつも何かに対抗しているような、険のある表情」で高校時代を送っていた。
 良一は、卒業アルバムをみて輝子に関心を持ち、出張で室蘭に向かうときに輝子と一緒になり近づき、「細いが艶のある美しい目」で「一見きゃしゃなようだが、肉づきはいい」が「胴回りだけは五十五センチ」だと分析。コートを脱いだ輝子のからだは想像どおりで良一は「官能的な女だ」と喜び、冷たい手を握って悦に入る。また、輝子自身もそのような自分のからだのことは自覚しており、男から触れられると「電流を受けたようにピリリと快感が全身を走る」。良一の家まで押しかけた際にはあれこれくどかれ、高校時代に奈緒実の「深々とした黒い目の美しさ」に「嫉ましく、いらだたしい日を送った」ことを思い出して、「もし、あの奈緒実から良一をうばったら……」と「ミイラ取りがミイラにな」り、再会した暁に自分の部屋で結ばれ、良一は輝子のからだをすっかり気にいるが、輝子は水揚げ料の代わりに「わたしが会いたいと言う時は、どんな時でも会って下さるという約束をいただきたいのよ」と約束を取り付ける。
 両親の姿を見て、「男と女の愛などあり得ない」と思っていたが、良一との関係が深くなるにつれ、「輝子なりに愛と呼んでもよいほどの激しい想い」が生じるようになり、クリスマス・イブの晩、良一を泊まらせようと睡眠薬入りのワインを良一に飲ませるが、良一は帰宅途中に睡魔に襲われて凍死してしまう。

(2)輝子の父親は「まあ、あの子もわがままでな。三人きょうだいの末っ子で甘ったれているものだからね」とあるが、京子に対するきつい態度は父親の浮気に原因がある。杉原家に乗り込んだときは、良一の前で「気性の激しい輝子は怒りおさえかねた」。

(3)「どうせ、つまんない世の中ですもの、太く短く生きるつもりですわ」「わたしは一生誰にも束縛されたくないの。だから、あなたの他の男の人とも、わたしは遊ぶつもりよ。いいこと?」