integral:三浦綾子資料室

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ひつじが丘:愛子/広野愛子(ひろのあいこ)

愛子/広野愛子(ひろのあいこ)

耕介の妻、奈緒実の母。女高師をでて、結婚前数学の教師をしていた。夫である耕一より先にキリスト教に入信。愛子の信仰は、耕一の過ちを許し、耕一のその後の生き方を変える。奈緒実の家出と時を同じくして敗血症で倒れる。良一が死去した知らせを聞いて奈緒実を起こしたときに頬を殴ったが、「あとにも先にも愛子が人の頬を殴ったのはその時だけである」と描写されるように、奈緒実を教育するときに叩いたことは一度もなかった。人物造形に際し、三浦自身は『道ありき』の中で、「西村先生を、どのように説明したら、人はわかってくださるだろう。わたしの小説「ひつじが丘」をもし読んでくださった方なら、小説の主人公奈緒実の両親を思い出していただきたい。あの牧師夫妻が、西村先生ご夫妻の一端を語っていることと思う」と述べている。

 

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(2)「ヒステリックなところの全くない、至ってのんびりした性格」「愛子の、のんびりした人柄は誰にでも好かれる。愛子に会うと初対面の人間でも心がほぐれた」と描写される愛子は、その娘の奈緒実がしばしば「激しい」と描写されるのとは対照的な一面を持つ。洋服の裏表を逆に来たり、買い物に行けば釣銭の受け取りや品物を忘れるのは日常茶飯事。「人の名前や顔はよく憶えており、百名を超える教会員の誕生日や家族構成は残らず知って」おり、物乞いにきても「あんた、町を廻るだけの体力があるんだもの、草むしりを手伝ってね。人からただ金をもらったら乞食になるわよ」と言って仕事を手伝わせてから金をやった。奈緒実の家出後も「朗らかにしている」様子を、夫である耕介は「えらい」としつつも「困った母親というべきかもしれないね」と評す。

(3)「でもね、人間というのは不完全なものだ、わたしは神さまと結婚したのではないとそう思った時、おとうさんをゆるす気になったらしいの」