integral:三浦綾子資料室

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ひつじが丘:竹山/竹山哲哉(たけやまてつや)

竹山/竹山哲哉(たけやまてつや)

昭和24(1949)年、北水女子高校(愛称:リラ高女)で英語教師を勤める。26歳、独身。京子、輝子、奈緒実の在籍する三年A組の担任でもある。「気どらない、しかし熱のこもった英語の授業は人気があった」。京子はもちろん、輝子もそれなりに好意を持っていた。板書の字は丁寧で、手紙の字も達筆とあるところから、字は上手いようだ。京子の兄・良一と大学時代の同級生で、「時折三人で街を歩く」程度の仲。学習態度を注意したときに、英語で「先生のような人の奥さんになる人は幸福だ」と言われて以来、次第に奈緒実を意識し、心引かれるようになる。しかし、奈緒実は良一と結婚。人妻になった奈緒実への思いを断ち切れない。竹山は、京子の「青ざめた」顔を見ると、自分のことを一途に想ってくれず京子を放っておけず、「いくらでもやさしくしてやりたいような心地」になってしまい、京子からの思いを拒みきれず、毎週訪問を受けるようになり、奈緒実を忘れるために結婚を申し込むものの迷いが生じ、奈緒実に告白する。良一の死後は、自分が良一を見下していたことや良一に比べると神に向き合う姿勢がいいかげんであったことに気づき、深い敗北感に襲われる。

実家は旭川にあり、兄と姉が二人いる五人兄弟の末っ子。「札幌でも屈指の自転車屋の離れの八畳間」に下宿。

(1)「ハラリとひたいに垂れた髪をかきあげるのが、生徒たちには魅力的」で「どこにいても目につくほどの、清潔な感じの青年」である。竹山は、清潔感のある青年と描かれる。高校三年生の夏休みに竹山から手紙を受け取った奈緒実は「石鹸の匂いのしそうな、ひきしまった顔」を思い出す。

(2)「大きな本棚二つに本がギッシリと並び、入り切れない本がその前にきちんと積まれてある。窓のところにはくつ下が二足ほしてあった」のを見て良一が「相変わらず、きちんとかたづいているね」と感心するが、良一とは対照的にきちんとした生活者として竹山が位置する。職場だけではなく、プライベートでも「いかにも教師らしい態度」を示す竹山に、卒業後、年始の挨拶に行った輝子は不満を覚えるが、それは「竹山のかっきりと一線を引いた態度には甘えて行けるものがなかった」からである。

(3)そうだ。わたしはもうこれ以上、この人に近づいてはならないのだ。目に見えない立入禁止の札を、人間は常に見なければならないのだ。