integral:三浦綾子資料室

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ひつじが丘:京子/杉原京子(すぎはらきょうこ)

京子/杉原京子(すぎはらきょうこ)

小料理屋を営む母、兄の良一の三人家族。

 昭和24(1949)年北水女子高校(愛称:リラ高女)三年A組在籍、「リラの花の色と、香り」が好き。輝子に「パンパン」とか「アンパン」と悪口を言われる。京子は「教師たちに、特に異性の教師たちに、京子が目をかけられるためかもしれない」と考えているが真相は別のところにある。奈緒実は、転入時、京子の席の隣に座ることになる。だが「奈緒実も京子も、相手が自分の一生に重大なかかわりを持つ存在になろうとは、この時は夢にも思わなかった」と説明されるように、物語上で二人は互いに「重大なかかわり」を持つ。高校卒業後は、北海道庁に就職、タイプライターを習う。「仕事が面白いだけでは、わたしはつまりませんわ」と言うと竹山に諭される。

(1)「透きとおるような色白の、どこかうれいのある」横顔で「セーラー服よりは、むしろ十二単衣でも似合いそうな風情があって、昭和二十四年の高校生とは思えない」と冒頭で描写される。卒業後は「みちがえるほど大人になって」「髪をすっきりとしたアップにした白いえり足が、まぶしいほど美しかった」。竹山は京子の顔を「やさしい顔」と思っている他、「やさしい笑顔」を竹山に向けたり、「やさしい声」で竹山に呼びかけるといった具合に、竹山から見る京子には「やさしい」という形容詞がつく。京子は竹山の気持を察しおり、竹山と奈緒実が結ばれるのことを考えると必ず「青ざめた」顔をする。この青ざめた顔を見ると、竹山は一途に自分を想う京子を放っておけず、「いくらでもやさしくしてやりたいような心地」になってしまい、二人は接近し、竹山はついに結婚を申し込む。

(2)兄・良一が女にだらしないことを知りながら奈緒実に知らせなかったことを、竹山は「やさしい顔」をしているのに「ひどく酷薄な人間」だと思う。竹山と京子のことになると冷静ではいられず、輝子と親しくし、奈緒実を避け、奈緒実にも「きらい……かもしれません」と宣言する。

(3)「あなたは何もご存じないのよ。あなたが悪いのではないわ。でも、美しい花のそばに咲いた花がどんなに淋しい思いをしたかということは知っていただきたいわ」