integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

氷点:正木次郎(まさきじろう)

正木次郎(まさきじろう)

 昭和37年に28歳で自殺した。辻口医院の患者で軽い肺結核で入院していた。結核だったが空洞もなく、銀行員で復職も決定していた。父母は健在、兄と弟の3人兄弟で、父は小学校の校長で、環境には何も問題はなかったにもかかわらず退院前日に屋上から飛び降り自殺。啓造によると、その死に顔は「くちびるをゆがめ、顔全体をゆがめて苦しそうな死に顔だった。今にもうめきが唇からもれそうな顔だった。未来永劫苦しみ続けるように見えた」。

(1)5尺6寸、やや痩型だがひ弱い印象もなかった。

(2)療養態度はまじめ

(3)「ぼくはこのごろゆううつで仕方がないんです。こうして自分が二年間休んだって、銀行はちっとも困りませんでした。そればかりじゃなく、ぼくが休んでいる間に市内だけでも支店が二つもふえて繁盛しているんですからね。ぼくが休もうが休むまいが同じなんですよ。つまりぼくの存在価値はゼロなんです。そんな自分が職場に帰って何の喜びがあるものですか」

※作中では数ページしか登場しないが、この青年に対する反響が大きかったことを三浦は後に書いている。正木は三浦が終始問いつづけた「いかに生きるべきか」という問題を読者の心に具体的なイメージを持って投げかけた重要な登場人物の一人である。