integral:三浦綾子資料室

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続氷点:順子/相沢順子(あいざわじゅんこ)

順子/相沢順子(あいざわじゅんこ)

昭和21年7月~

ルリ子殺しの犯人・佐石土雄の実の娘。『続氷点』「香煙」の章以降に登場する。(「佐石の子」としての描写はこちらを参照)
は薬剤師で、琴音に店を持っているが、子供が好きで保育科に進学。一人っ子。
北原とは、高木の母の葬式から十日後ぐらいに、石狩の浜でばったり会い一緒に遊ぶ。また、道庁の門の前でもばったり会い、北原から
と会うことを聞いてついて来る。


徹を慕っていることは、「交差点」の章で、北原の口から次のように語られる。「あの子は君にひかれているようだよ。葬式の時からね」「いや、冗談じゃない。辻口と友だちになりたいって、いくどもいっていたからね。ぼくはよほど、陽子さんのことを知らせようと思ったぐらいだ」。また、順子自身も「新芽」の章で徹が気になることを陽子に打ち明け、「花しょうぶ」の章で「おにいさんに、お好きな方がいらっしゃるの?」「わたし、立候補したいの。だめかしら」と陽子に尋ねている。徹と陽子に血のつながりがないことは、北原の口から知る。

夏休みは、実家の薬局でアイスクリームやアイスキャンデーを売っているのでその手伝いをする。

「命日」の章で、陽子に手紙を書き、「本当の父母に育てられたのではありません」「乳児院に預けられ、二つの時に育児院に移されて、四つの時までそこで育ちました。そのころ、相沢の父母が、高木先生を通じて、わたしをもらってくれたのです」「わたしは自分の実の父を、一時非常に憎み、呪い、心の中で責め続けたことがありました。しかしわたしは、相沢の父母に連れられて教会に通い、そこでキリストの贖罪を知ったのです」と告白する。

陽子にとっては「心から安心して親しくなれる」存在であると同時に「生きる方向」を示す人物である。

見本林の川原で夏枝の口から「……たった三つの子の首をしめるなんて、佐石という男も、ひどいことをしたものですわ」という言葉を聞いた順子は、「わたし、佐石土雄の娘です」と告白をし、謝罪をする。夏枝には強烈な姿だったが、1.事件から既に二十年を経たこと 2.陽子を佐石の娘と信じて憎み続けた過去 3.陽子が川原で自殺を図った といったこともあり、「順子の出現は驚きではあっても、憎しみをそそる結果にはならなかった。かえって川原に打ちふした順子に夏枝は同情さえした。」

「すべてのこと相働きて益となる」という言葉が好きだと陽子に語る。

(1)「二十歳になるかならぬかの少女」「笑うと、頬に深い笑くぼのできる、優しい顔立ちの少女」「明るい紺のワンピースに、白いレースの衿が清楚だった。笑うと、深く小さな笑くぼが口もとにできるのが愛らしい」。徹によると「かわいい人」。陽子も「感じのいい方」という。植物園で順子と話した陽子は、「幸福そうなこの人」「一見無邪気そうな順子」と心中で評する。徹は「無邪気な人」「中学生のような感じじゃないか」と陽子に話すが、陽子は「あの方はかしこいのよ」と言う。

「丸い目」

(2)「単純だから、思ったことを、すぐいってしまう」「敏感」
夏枝は順子の「くったくのない明るさ」に心ひかれて、一緒に見本林を散歩する。

(3)「あったわ。不幸を知らない人には真の幸せはこないわ。ね、陽子さん、わたしね、幸福が人間の内面の問題だとしたら、どんな事情の中にある人にも、幸福の可能性はあると思うの」(交差点)「わたしを、どのようにでもなさってください。わたしの父の罪を、わたしはおわびしたいと思って、生きて来たのですから」(石原)