この『塩狩峠、愛と死の記録』は、『塩狩峠』によって信仰に導かれた青年の信仰告白からはじまるが、本書の内容は、この青年が「あなた、そんなに長野さんのことを大事に思っているなら、『塩狩峠』の続編を書いて見たら?」という三浦綾子の言葉をきっかけに、長年の取材で発見した長野政雄が愛用した聖書や、教会の資料などの中に埋もれていた長野政雄関連の諸資料を発見するに至ったドキュメンタリーである。そして、何よりも本書では、三浦綾子の『塩狩峠』では諸説あった長野政雄(長野信夫)の死の真相に新たな資料を提示した点で大きな意義があるとわたしは思う。