integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

2007-12-24から1日間の記事一覧

『ひつじが丘』:冒頭は、「泳いでみたいような青い空であった。じっとみつめていると、空の奥からたぐりよせられるように、細い絹糸にも似た雲が湧いてくる」という冒頭で始まり、「竹山は、奈緒実がみつめている遠くの白い雲に視点を転じた。雲は陽に輝い…

悲しい・悲しみ

①『ひつじが丘』の奈緒実は、良一の死に対し、打ちひしがれるが「悲しみって、なんと非生産的な感情でしょうね。このままだと、食欲もないままにわたしの体は滅びてしまうだろう」「悲しみって命を滅ぼすほどのエネルギー」なので「神からいただいたエネルギ…

ゆるし/ゆるす

『氷点』:ヒロイン・陽子は遺書に「ゆるし」と記し、「私の血の中を流れる罪を、ハッキリと「ゆるす」と言ってくれる権威あるものがほしいのです」と残す。『ひつじが丘』:・奈緒実は死んだ良一が残した画(「十字架にかかったキリストから、血がしたたり…

肉鍋

『大辞泉』(増補・新装版)によるとにくなべ【肉鍋】 1肉料理用の鍋。2鳥獣の肉などを鍋で煮ながら食う料理。---------------------------------------------------- 『ひつじが丘』:帰宅の遅い良一を待ちながら、竹山と奈緒実は二人で鍋をつついた。『…

凍える

(1)生きる気力を失った心的状況。『氷点』の陽子は遺書に次のように記す。「私の心は凍えてしまいました」「私はもう生きる力がなくなりました。凍えてしまったのです」(2)「冷たい心」は時として人を殺す。『ひつじが丘』の奈緒実は、良一の死去に際し…

血/キリストの血/天からの血

(1)罪の象徴 『氷点』:夏枝は、村井との密会について「制御できないものが、自分の血の中に流れている」のを感じる。(2)キリストの血/天からの血 『ひつじが丘』:良一は、次のような画を残している。「十字架にかかったキリストから、血がしたたり落…

北七条教会

実在しない教会。モデルは札幌に実在する北一条教会か。『ひつじが丘』の広野耕介(奈緒実の父)は、この教会の牧師である。

羊が丘

実在する展望台。「さっぽろ羊が丘展望台オフィシャルサイト」:http://www.hitsujigaoka.jp/index.html---------------------------------------------------『ひつじが丘』:「煙が草原の上を這っているのかと、奈緒実はひつじが丘の柵にもたれて視線をこ…

冷たい

(1)登場人物の心の冷たさを表現するものとして。例えば、『ひつじが丘』の奈緒実は、良一への愛情が冷めた自分を認める。 (2)「冷たい心」は時として人を殺す。『ひつじが丘』の奈緒実は、良一の死去に際し、「自分の冷え切った心が、良一を凍死させて…

睡眠薬

『氷点』:陽子は見本林で自殺を図る。 『ひつじが丘』:輝子が常用、良一との別れに際し、ワインに投入。『続氷点』:・睡眠薬自殺を図った陽子は生き返った。

『ひつじが丘』:・良一は、療養生活中、奈緒実への愛の証として酒を断つ。・良一は、輝子との別れに際し、誘惑と戦い勝てず、輝子が中に入れた睡眠薬によって眠気に襲われて凍死する。

未完成交響曲

交響曲第7番ロ短調D759「未完成」(Sinfonie Nr. 7 in h moll D. 759 "Die Unvollendete" )のこと。オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトが1822年に作曲した未完の交響曲でシューベルトの代表作のひとつ。参照:ウィキペディア「交響曲第7番(シュー…

北海道を舞台にした三浦綾子作品には頻出する。(1)北海道固有の生活風景(2)『ひつじが丘』では、人間のみにくさと対照的なものを象徴するものとして描写されることもある。(3)雪けむり『氷点』第14章の題名。斜里からの帰り道、高木が辻口家に立ち…

水道管破裂

本州とは異なり、冬の寒さが厳しい北海道ならではの現象。『ひつじが丘』の奈緒実は、両親や良一が仲むつまじくしているのをうれしくないはずはないのに、「何となく自分一人が仲間外れのような感じ」だと思いながら、「水道の水をボールに勢いよく流して、…

目の前から去る者は心から去る

諺 用例(作品の50音順) 海嶺 太陽はいつも雲の上に ひつじが丘 諺 「去る者日々にうとし」。英語では、"Out of sight, out of mind.” 用例(作品の50音順) 愛情のうつろいやすさ、人の心の冷たさを示す。 海嶺 妻を恋しがる気の弱い男に対して誰かが「目…

①生きる目的を暗喩するものとしての象徴「(みんな、何の目的で、どこへ行こうとしているのかしら)/こんなに沢山の人々が、何らかの目的や用事を持って旅をしているのが不思議だった」(『ひつじが丘』)

女子高校生

①昔の自分を回顧し、時の非情を思わせる存在。奈緒実は女子高校生の集団を見て「自分がひどく年よりじみた人間のような気がして」「ふたたび帰ることのない、かつての自分の姿を見送る思い」になる。

札幌駅

(1)人生の不確かさ、人の心のあやうさを思わせる場所。『ひつじが丘』:奈緒実は駅で「こんなに沢山の人々が、何らかの目的や用事を持って旅をしているのが不思議」がる。『続氷点』:・「何の目的で札幌に降り、何の目的で旅立つのか。この駅に降りるこ…

賛美歌/讃美歌

『氷点』:初めて教会を訪れた啓造は、自分の知らない讃美歌を聞いたことで、教会に入りにくいように感じ、自分の優柔不断さをなさけなく思う。『ひつじが丘』:・讃美歌312番=9月も半ばの土曜日に教会の庭で青年男女のだれかが歌いだす。・讃美歌を聞いて…

キリスト

『ひつじが丘』:良一は、ルオーのキリスト画について次のように語る。「うん、この間ルオーのキリストの絵を見ていたらね、ふいにそんなことを考えちゃったんだ。俺は聖書なんか読まないけれど、ルオーのキリストを見ていたら、何かこう迫ってくるものがあ…

ルオー

画家。『大辞泉』(増補・新装版)によるとルオー[Georges Rouault][一八七一 一九五八] フランスの画家。黒く太い輪郭線、深く輝くような色彩を特色とする。----------------------------------------------------『ひつじが丘』:・良一は、ルオーのキリス…

狸小路(たぬきこうじ)・狸小路商店街(たぬきこうじしょうてんがい)

札幌にある商店街で北海道でもその歴史は古い。公式ホームページによると、1869(明治2)年、明治政府が「北海道開拓使」を札幌に置いた頃に、現在の狸小路2丁目・3丁目あたりに商家や飲食店が建ち並び始め、明治6年頃に、その一角が「狸小路」と呼ばれるよ…

本屋(書店)

(1)自分が孤独であることと向き合う場所。 ひつじが丘 (2)キリストあるいはキリスト教との出会う場。 氷点 (3)その他 氷点 ひつじが丘 積木の箱 (1)自分が孤独であることと向き合う場所。 ひつじが丘 奈緒実は勤めの帰り書店に立ち寄り、学生た…

喫茶店ポプラ

『ひつじが丘』に出てくる喫茶店。「うす暗い」ため「アベック専門」のようだと奈緒実は判断する。疎遠になった京子と狸小路で再会した奈緒実はお茶に誘うが、へだたりを感じ、会話はすぐに途絶える。奈緒実は京子の変化を指摘し、「すっかりわたしをきらっ…

札幌

『氷点』:・高木は産婦人科医で、札幌の総合病院に勤めていた。・「アカシヤの並木の美しい札幌は、いつみても啓造の心をなぐさめた」(回転椅子)。・学生時代、啓造は夏枝と通りを歩いた。・陽子を引き取った直後、夏枝は時計台そばの丸惣旅館に宿をとり…

昭和新山

『大辞泉』(増補・新装版)によるとしょうわしんざん【昭和新山】 北海道南西部、洞爺湖南岸の有珠火山東麓に、昭和一八~二〇年(一九四三~四五)の活動で生じた小火山。畑地が隆起した屋根山と熔岩円頂丘からなる。標高四〇二メートル。----------------…

働かざるものは食うべからず

『ひつじが丘』「仕事が面白いだけでは、わたしはつまりませんわ」という京子に「働かざる者は食うべからずって、京子さん知ってるか」「あれの本家はキリスト教だよ。働こうとしない者は食うこともしてならないと聖書に書いてある」と説明。

三平汁

『大辞泉』(増補・新装版)によると、以下のように記される。 ニシンのぬか漬けやサケのあらなどを野菜と煮合わせた塩汁。北海道の郷土料理。松前藩賄方、斎藤三平の草案という。【季 冬】岡田哲編『日本の味探求事典』(東京堂出版、1996.1)により、以下…

リラ高女

『ひつじが丘』に出てくる札幌にある北水女子高校の愛称。校庭の周囲には、リラの木が多かったことから、「リラ高女」の愛称で親しまれている。ミッションスクール。※モデルとなったのは、実在する北星学園女子高校(『生きることゆるすこと 三浦綾子新文学…

喫茶店「エルム」

『ひつじが丘』:高校3年生の1学期の終わり、奈緒実が京子を誘って入る。