integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

(1)大切な人物の喪失
『氷点』:啓造夫妻は、愛娘ルリ子を失う。

(2)問題提起
『氷点』:啓造は、正木次郎の自殺について、「個人の存在はこの世において無に等しいと感じさせる」という問題提起だと考える。

『続氷点』:啓造は、「死の宣言」について、「人間が人間の死を宣告するなんて、何か空恐ろしいことに思われるね」と語り、死とは何かと問題提起を行う。夏枝は絶望だと言い、村井は「死は全くの終り」で、灰と骨しか残らないと言うが、夏枝は思い出が残ると反論する。啓造は、「永遠の生命」や「罪」の問題を含んだ深い思想を考えたいと思うが、村井に話の腰を折られる。

(3)公平に与えられているもの
『氷点』:陽子と二人でアイヌ墓地を訪れた啓造は、陽子に「貧しい人にも金持にも、健康人にも病人にも、死だけはまちがいなく公平に与えられているとね」と語る。

(4)無力さを感じさせるもの
『氷点』:洞爺丸の海難事故にあった啓造は、「死に面したいま、地位も医学も何の役にも立たなかった。死に対して啓造は何の心がまえもなかった。いままで医師として数多くの死を見てきたはずであった。しかしそれは、他人の死であった。自分のこととして見た死ではなかった。いま、啓造は全く無力だった」と感じる。(台風)

(5)突然襲ってくる一方的なもの
『続氷点』:耳鳴りとこれまでに感じたことのない後頭部の突刺すような痛みを感じた啓造は、患者たちのことを思い出し「死期は相談ずくで定まるのではない。死は全く一方的なのだ」「死は、人間の都合を全く顧慮せぬ冷酷さで、突然襲ってくる」と感じる。

(6)自分にとっては重大でも、他人にとっては他人事なもの
『続氷点』:「自分にとっては重大な自分の死も、人々にとっては何の痛痒も感じない事件なのだ。それは、他の人々の死が、啓造自身にとって、所詮他人ごとに過ぎないのと同じだった」と気づき、「孤島にあるような淋しさ」を感じた。(聴診器)