integral:三浦綾子資料室

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アイヌ墓地

『氷点』:正木次郎の自殺の話を陽子にした次の日、啓造は陽子を伴ってアイヌの墓地に行く。明治28年には1万坪あった墓地が、950坪に減らされていることに、啓造はアイヌの人たちに「気の毒」だと思う。

 墓地とはいっても、和人のそれのように『何々家』と境をしたものではなく、エンジュの木で作った墓標がつつましくひっそりと、並んでいるだけであった。それはいかにも死者がねむっている静かなかんじだった。死んでまで、貧富の差がはっきりしている和人の墓地のような傲慢な墓はない。(『氷点』赤い花)

 啓造は、キネ型の墓標が女性のもので、とがったペーパーナイフのようなものが男性のものだと教え、アイヌの人たちは「一度死人を葬るとその墓には近づかなかったらしいがね」と、和人のお盆祭りの風習が入っていたことや、学生たちが墓荒らしをしていることを語る。陽子はこの話を聞いて、「ひどいわ!」と悲しそうに叫んだ。