integral:三浦綾子資料室

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石狩川(いしかりがわ)

『大辞泉』(増補・新装版)によると、以下の通り。

北海道中央部を流れる川。石狩岳に源を発し、石狩湾に注ぐ。道内最長で、長さ約二六八キロ。長さでは信濃川、流域面積では利根川に次いで、ともに日本第二位。平野部で著しい蛇行を見せ、三日月湖が多い。

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『氷点』:
・徹と陽子が二人で層雲峡に出かけた際、次のような会話がある。

 「まあ、きれいな川。これがほんとうの石狩川の姿なのね」
 広い川床に、夏の陽を乱射しながら流れる水は澄んで底がすいてみえる。
 「そうさ。ぼくらは工場の廃液の酸っぱいにおいのする、あのまっくろな川が石狩川だと思って育ったろう? 昔はあの石狩川に鮭がうようよのぼったんだってさ」
 「川って公のものでしょう? 一つの会社のために、魚も人も泳げないようなものになってもいいのかしら。下流の漁師の人たちの生活を生活を侵害してもいいのかしら」
 陽子はめずらしく怒ったようにいった。
 「うん。だがね、あれでもだいぶきれいになったんだそうだよ。会社もかなり努力はしているんだということだがね」(『氷点』川)

・陽子は、徹に自身がもらい子であることを小学生の時から知っていたと告げる。その時、石狩川に例えて、自身の性格を次のように言う。

 陽子ね、石にかじりついてもひねくれるものかというきかなさがあるの。層雲峡にくる時、石狩川の上流がきれいだったわ。下流は工場の廃液で黒くよごれているけれど。あれをみても陽子は思うのよ。わたしは川じゃない。人間なんだ。たとえ廃液のようにきたないものをかけられたって、わたしはわたし本来の姿を失わないって、そう思ってたの。こんなの、やはり素直じゃないわね、おにいさん(上記に同)

『続氷点』:
・陽子は北原に「石狩川もきれいで、鮭がたくさんのぼってきたんですってよ。わたしその頃を生きたいの。そりゃあ大変なことや、不便も多かったでしょうけど、何かもっと詩があったように思うの」と語る。(陸橋)

『積木の箱』:
・「大橋を右に見て過ぎると、広々とした石狩川に朝の陽がきらめていていた。川原柳の群生するデルタを、押し流さんばかりの豊かな水である。左手には土砂崩れを防ぐコンクリートの擁壁がつづいている」。(砂湯)
・「プールは、公園の片隅にあった。プールからすぐに石狩川の堤防がある」。(断面図)
・「石狩川の水が夏の日をギラギラと照り返していた。弧を描いた旭橋のサーモンピンクの色が、変になまなましい」。(断面図)
・「バスは、石狩川に大きくまたがった旭橋を走っている。暑い陽ざしの中で、釣り糸を垂れている人が何人かいた」。(鉄柵)
・「遥か彼方から石狩川がゆるやかに流れ、眼下でキラキラとさざ波立つのが見えた。その石狩川に沿って、黒い汽車が煙を吐きながら、ゆっくりと走っている。遠くの街の屋根が、秋の陽に光っていた」。(小路)
・「悠二は近くの石狩川の堤防に出て、車がやっとすれちがうことのできる狭い新橋を、欄干に身をすりよせるようにして歩いて行った」。(発車)
・「凍ってせばまった川は、黒く重く流れ、その川面からかすかに白い靄が上がっていた」。(発車)