integral:三浦綾子資料室

作家・三浦綾子に関する研究をするブログ。※予告なしに記事の修正削除およびURLの変更を行います。

三浦綾子作品ことば事典

牧師

三浦綾子作品では、登場人物の中に牧師および宣教師が登場する。 『氷点』『続氷点』では、洞爺丸事件以降の啓造の生き方に影響を与えた外国人宣教師が出てくる。 『続氷点』で、啓造が教会を訪れた際に登場する牧師(川谷牧師)は実在した人物である。 『ひ…

イロハがるた

三浦夫妻は、二人でイロハがるたを作って遊んだというエピソードがあるが、小説やエッセイの中に描かれている。『積木の箱』:・一郎と和夫は、二人で鉄道イロハがるたを作る。(発車)

棚卸し

三浦綾子は小説家になる前、雑貨屋を営んでいた。商品の棚卸しをする時の様子は『道ありき』に詳しく記述されているが、『積木の箱』にも自身の経験をもとに以下のように記述されている。『積木の箱』: 久代は朝の三時まで、老いの功と店の棚卸しをした。十…

約束

『積木の箱』:・「だってさ。約束したんだもん。約束を守らないと、だめだって先生がいったよ。あのおじさんきっと約束を守るんだ。きっと、まだお金がもうからないんだよね、おかあさん」(鉄柵)

『ひつじが丘』:奈緒実は勤めの帰り書店に立ち寄り、学生たちが十数人もいるにもかかわらず、「だれも、自分のすぐ隣りにいる者に注意を払」わず、本を選んでは書棚に戻す行為を見て「本を読むって、淋しいことだわ」と思う。『積木の箱』:・悠二は、一郎…

待つ

(1)病人が治るのを待つ、決まった人が病気だが回復を待つ『積木の箱』:掛居は悠二に「それとも、決った人が病気か何かで、待っているんですか。しかし何ですなあ、できたら一生一人でいる方が、男のほんとうの幸福かも知れませんなあ」と言う。

天国

『積木の箱』:・和夫は、天国と言う言葉を知って以来、天国への行き方にこだわる。・天国に行こうとした和夫は、川でおぼれているところを、一郎に助けられる。(入道雲)・和夫は久代に「あのね、一番先にいばらない国にいくんだ。それから、やさしい国に…

原罪

『続氷点』:流氷原で、「あなたがたの中で、罪のない者が、まず石を投げうちなさい」という言葉と、許しを乞うた恵子の姿を思い返しながら、陽子は流氷原のように冷え切った自身の非情さに気づく。それは「自分を正しいと思うことによって、いつしか人を見…

贖罪

『大辞泉』(増補・新装版)によるとしょくざい【贖罪】1善行を積んだり金品を出したりするなどの実際の行為によって、自分の犯した罪や過失を償うこと。罪ほろぼし。2キリスト教用語。神の子キリストが十字架にかかって犠牲の死を遂げることによって、人…

わびる

『続氷点』:・順子の手紙を読んだ啓造は、自身の身勝手さに気づき「おとうさんはね、陽子。陽子にはむろんのこと、この娘さんにも、わたしたち夫婦はわびねばならないと思ったよ」と陽子に語る。(命日)・陽子は、母にわびることは何一つないと思っている…

(1)人生のたとえとして『続氷点』:・啓造は高木との電話で「自分が人生の秋にさしかかっていることを痛感した。何の実りもない秋のような気がする。確かに多くの患者をなおしてやり、その命を延ばしてやったかも知れない。しかし、もっと確かなものを、…

足あと/足跡

『氷点』:自殺を図ろうと堤防をよじ登った陽子はふり返ると、「陽子の足あとが雪の中に続いていた。まっすぐにあるいたつもりなのに、乱れた足あとだと、陽子はふたたび帰ることのない道をふりかえった」。(ねむり) 『続氷点』:・陽子を誘い、見本林に散…

車/自動車/カー

(1)密室『続氷点』:村井の車に乗って、松崎由香子の墓に行ったという夏枝に、啓造は「いけないね、車は一つの個室みたいなものだからね」と非難する。(バックミラー) (2)手に入れたら、どうということもなくなるもの『続氷点』:「そうね。家でも、…

『続氷点』:・陽子は、啓造と二人で見本林に散歩に出かけた際、「眠りの中の夢」について質問する。啓造は、人間は自分の人格のうち、8割は無意識の中に沈んでいると説明し、「自分の中に未知数があるということは、同時に希望の持てることでもあるからね」…

洗礼

『ひつじが丘』:・良一は竹山に洗礼を受けたのかと問う。

祈り/祈る

『ひつじが丘』:・奈緒実は、耕介の食前の祈りを見降ろすような姿勢で眺め、アーメンの唱和が終わらぬうちに牛乳を口にするが、耕介も愛子も注意をしない。・良一との結婚生活の中で、奈緒実は自然に祈りたくなってきた。・「秋のある朝」、「朝の食事の前…

むなしい/むなしさ

『氷点』:夏枝のうなじにキスマークを見た啓造は、「不意に何もかもが、無意味に思われた。日頃誇りに思っていた医師としての仕事もむなしいものに思われた。(略)サイの河原に石を積むようなむなしさがあった。患者の命を救っているという誇りを、今夜の…

吹雪

(1)日常生活に潜む不穏なものを暗示するもの処女作『氷点』は「風は全くない。」という冒頭文で始まり、ラストシーンは「ガラス戸ががたがたと鳴った。気がつくと、林に風が鳴っている。また吹雪になるのかも知れない」で終わる。(2)「大吹雪」=『氷…

空洞(くうどう)

『大辞泉』(増補・新装版)によるとくうどう【空洞】(※1,2省略)3 肺・腎臓などの内部に壊死が起こり、それが排出または吸収されたあとにできる空間。肺結核の時にできるものなど。-----------------------------------------------------『氷点』:村…

意志

(1)大いなるものの意志・北原が斜里から陽子に宛てた手紙に出てくることば。死のうとして海に入ったが、斜里の浜辺で気絶していたところを発見され女性は助かった。北原はその女性が「死のうとしても死ねない時がある」ということに、「厳粛なもの」や「…

(1)「川」:『氷点』第31章の題名。8月の終わり、徹は友人から車を借りて来て、陽子と二人で層雲峡に行き、一泊する。そのとき、陽子は徹に自身がもらい子であることを知っていると告白する。(2)汚染された川:自分本来の姿を損うことの例え ・陽子…

愛する/愛

(1)自分の命を相手にやること『氷点』:洞爺丸の海難事故に遭遇し、一命を取り留めた啓造は陽子を愛せない自分を痛感する。ふと同乗していた宣教師のことを思い出し、愛するとは「自分の命を相手にやることだ」と思い、「人を愛するのは、スローガンをか…

洞窟

『氷点』:「啓造はいま、自分の心の底に暗い洞窟がぽっかりと口をあけているような恐ろしさを感じた。(略)この恐ろしい思いは、自分の心の底に口をあけたまっくらな洞窟からわいてくるように思われた」(雨のあと)

虫の知らせ

『氷点』:徹は、茅ヶ崎から札幌に戻って、2,3日ゆっくりするつもりだったが、「虫の知らせ」を感じて旭川に向かう。そこで発見したのは陽子の遺書だった。

ねむる/ねむり

(1)ねむる『氷点』:・啓造は、夫婦が一つの部屋で眠っていることについて、「一つの部屋に眠るということは、心をゆるしていることではならなかった。夫婦であっても、心の中に何をかくして生きているかはお互いにわからない。あるいはただ憎しみだけし…

教会

『氷点』:洞爺丸事件から十年後、啓造は教会に出かけるが、中に入ることができず、十字架を見あげる。『ひつじが丘』:・ヒロイン広野奈緒実は、教会の牧師の娘。・函館を訪れた竹山は奈緒実を訪ね、「教会に行っているんですか」と尋ねる。その時、奈緒実…

なくてはならぬもの

三浦の講演の題名の一つ。『氷点』:・啓造が初めて教会を訪れたときに掲示してあった説教の題名。・教会に入ることのできない啓造は「なくてはならぬものとは何だろう? おれにとって、なくてはならぬものとは何だろう」と自問し、十字架を見あげる。

聖書

『氷点』:・啓造は富貴堂書店でマタイ伝第1章を立ち読みし、聖書を購入。・啓造は、洞爺丸事件から十年後、「この本は、本当におれに新しい生き方を教えてくれるだろうか」「あの人のように、おれは生きたいのだ」と聖書をめくる。『続氷点』:・啓造は浜…

(1)大切な人物の喪失『氷点』:啓造夫妻は、愛娘ルリ子を失う。(2)問題提起『氷点』:啓造は、正木次郎の自殺について、「個人の存在はこの世において無に等しいと感じさせる」という問題提起だと考える。『続氷点』:啓造は、「死の宣言」について、…

運命

(1)大いなるものの意志北原が斜里から陽子に宛てた手紙に出てくることば。死のうとして海に入ったが、斜里の浜辺で気絶していたところを発見され女性は助かった。北原はその女性が「死のうとしても死ねない時がある」ということに、「厳粛なもの」や「単…